四君子-shikunshi-

鶏の八聲もわきて華やかに きらめき出づる初日影
岩戸のひまの見え初めし 神代も斯くや明らけく
治まる御代の空長閑けく

咲く梅が香も手弱女の
袂に通ふ都の春 大宮人もいとまあれや
桜かざしてきさらぎや 弥生の花の白雲も

いつか青葉になりぬれば おのづからなる雨露の
恵みにたかく生ひ出でて 誰が脱ぎかけし藤袴
風のまにまにかをる香の 深きぞ花のみさおなる

秋待ちて咲く菊の花 下ゆく水の流れ汲む
人も齢を延ぶるてふ その故事も名にし負う
あづまの野辺の黄金草 誰がみつぎの数に積む
それは花のしめやかなる

また此君と名付けしは
霜をもしのぎ 雪にも折れず
雲井に茂る千代のかげ 竹の園生の末長かれと
君が千歳を祝ひける 実に佳色ある御代の春

着物好きに「四君子」といえば、梅・蘭・竹・菊の4つが揃った紋様。
おめでたい吉祥文様の一つなんですね。

「君子」とは中国・宋の時代の高潔な方を意味しますが、梅・蘭・竹・菊の佇まいに風格を感じたため、つけられたのかなと思います。

さて、踊りの「四君子」は上で述べた4つの花を春夏秋冬に準えたものと言われてます。
私はものすごーく感覚的に「あ、四季の曲なんですね(なんで四君子?)」と当時踊ったのですが・・・よくないですね笑

梅⇨梅
蘭⇨藤袴
菊⇨黄金草
竹⇨此君
なんだそうですよ。ふむ。

鶏の八聲もわきて華やかに きらめき出づる初日影
岩戸のひまの見え初めし 神代も斯くや明らけく
治まる御代の空長閑けく

「咲く梅が〜」以降の詩を読むとふむふむなんとなく言いたいことはわかる、と思います。
冒頭部分は少々含みがあり、
「鶏の八聲もわきて(極めて)」は、この曲が作られた年が明治の酉年だったことに起因。
・・・そして「明らけく治まる」は明治の意味が含まれているんですね。

それにしても良い意味で「清元」らしからぬこの曲。
清元といえば俗世の詩が多いと思いますが、最初から最後まで高尚な印象を与える演目です。

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